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ヘヴンズアンダーコンストラクション


 果たして、三途の川を越えた先『天国』とはいったいどんな所なのでしょう?
 綺麗なお花畑? それとも酒池肉林のハーレム帝国?
 いやいや、もしかするとそこは公務員構築士が管理する、ヴァーチャルリアリティの世界かも知れません。

 さて、「小説家になろう」ではじめてのレビューはLizreelさんの「ヘヴンズアンダーコンストラクション」です。

 舞台は近未来。医療技術の発達によって怪我や病気による死者は減り、寿命自体も限りなく長寿化した時代。
 人が死に難くなったその一方で、人口増加問題への対策が政府にとっての急務となっておりました。
 そこで考え出されたのは、早期退職制度ならぬ、早期入滅制度。人生をリタイアした人の記憶を政府が作り出したヴァーチャルユートピアに移植し、そこを終の棲家にしてもらおうというサービスです。
 人が作り出した天国においては、もちろん神様も人間がこなさなくてはいけません。
 仮想死後世界アガルタを創造する人工神・構築士は年収四億円という目玉が飛び出るような高収入が約束された最難関の国家公務員資格となったのでした。
  
 そうして、ここに登場するのが我らが主人公、赤井さん(仮名)。
 思いがけずこの最難関国家試験・構築士甲種一級に合格した新人公務員です。
 構築士としての任務初日、彼は今年たった三人しかいない同期との親睦を深めるために、もんじゃ焼きで同期会を行おうと楽しみにしていたのにも関わらず、なんとその日に構築士は十年もの間ずっと自分の管理するヴァーチャルユートピアから出られないことを知ります。
 赤井さんは腹を括って、自身の担当する第二十七管区を理想の天国にするべく動き始め……たかった、のですが。
 ところがどっこい。話はそううまくは進まない。
 サポート役である担当官さんはツンデレを通り越してツンドラだし、導いていってあげなければならない素民たちからは信用されないし、おまけに現実世界での十年間はヴァーチャル世界では千年間であるというとんでもない事実を突きつけられます。しかもモンジャも食べられない。
 泣きたくなるような現実(仮想だけど)を前に、それでも持ち前の暢気さと機転と理系知識を武器に、赤井さんは一歩一歩神として成長していく、「ヘヴンズアンダーコンストラクション」はそんな物語なのです。

 さて、さらにこの物語の魅力を語るとするならば、やはり最初に挙げるのは主人公・赤井さん(仮名)のお人柄になると思われます。
 モンジャと天体をこよなく愛する彼は、理系大学を卒業したばかりのごくごく普通の青年。
 そんな彼の何が魅力かと申しますと、それは彼のひょうひょうとした明るさに尽きると思います。
 現実時間で十年、仮想時間で千年もの間、神として電脳世界に閉じ込められ、数々の試練に立ち向かわなければならないのにも関わらず、彼はいつでも変わらず明るく、ユニークで、そのうえ真剣です。
 そんな彼の人柄や姿勢は、仮想世界の民や構築の仕事仲間のみならず、読者である我々に対しても元気と勇気を与えてくれるのです。
 
 もちろん人柄のユニークさで言ったら、他の人たちも負けてはおりませんよ。
 仮想世界では動物好きな初めの民メグ、神を慕う万能少年ロイ。
 現実世界では、悪役が板についていた面倒見の良いエトワール先輩、版権に挑戦するお茶目なグラフィッククリエイターモフコ先輩。伝説の構築士伊藤プロジェクトマネージャー等々、主人公赤井さん以外の登場人物たちも血肉の通った楽しくも素敵な人たちばかりなのです。

 さらに! キャラクターの素晴らしさの他にも、この物語の魅力は数多くあります。
 現実世界で企てられる赤井神簒奪計画、消えてしまった元恋人の真相、仮想下リハビリテーションの顛末、サイバーテロの脅威……。和気藹々とした和やかな仮想世界とは裏腹に、現実世界で起こる水面下の事件と企みはその断片が浮かび上がるたびに、固唾を呑んで何が起きるのか探らざるを得ません。
 ほのぼのとした仮想世界と、暗い部分が見え隠れする現実世界とのギャップもこの物語の魅力を引き立てる素敵なスパイスになっているのだと思います。

 また、この物語は同じ作者様の「INVISIBLE - インヴィジブル -」から用語や設定を流用している部分もありますので、両方の作品を読んでいる人はにやりとするかもしれませんよ。

 そんな愉快な赤井さんとその仲間たちが繰り広げる創世の物語、かなりのお薦めです。
 


  掲載 /「小説家になろう」内
 「ヘヴンズアンダーコンストラクション」 

                      管理人 /Lizreelさん

<壮大なSF小説を書かれるお方。作中で披露されるきっちりとした理系知識の数々を、文系人間の私はいつも眩しい思いで読ませて貰っております。綺麗なCGイラストも、一見の価値ありです。>