花南さんの東雲高校裁判部シリーズを読ませていただきました。
まず、言いたいことはひとつ。
これはたいへん面白い作品です!
まず、高校の中に学内のいざこざを調停する裁判部があるという設定からユニークです。
飛びぬけて自由な校風の高校の中にある多種多様な(そして奇妙奇天烈な)部活の中のひとつである裁判部と生徒会のメンバーを中心に語られるこのストーリー。
時に腹がよじれるほどにコミカルでありながら、また時には策略陰謀の飛び交うシリアスな展開が待ち受けています。
作品は短編連作ということでそれぞれが完結してはいるものの、全体で一つの流れを形成しているように感じました。(もちろん完全に独立したストーリーもありますが。)
特に前半の「揚足裁判」「似非裁判」「裏表裁判」の三作は、読み進めていけばいくほどに事件の全容が明らかになり、どんどんと続きを追っていきたくなってしまいます。
そのため、気が付けばいつの間にか作品の世界観にどっぷりと嵌ってしまうのです。
また、キャラクターもたいへん秀逸です。
裁判部四天王をはじめとして、生徒会のメンバーに裁判部の先輩後輩に他の部活の面々にと、登場人物はけして少なくはないのですが、誰も彼もがおそろしく個性的であるためあっという間にキャラクターが脳裏に刻み込まれてしまいます。
むしろ、忘れたくても忘れられないほど奇想天外でインパクトたっぷりな登場人物ばかりなのです。
主人公格のメインキャラばかりでなく、そのほかサイドキャラクターにいたるまでが魅力たっぷり。そのためついつい贔屓のキャラや愛着の出てくるキャラなどが出てきてしまうようになります。
(ちなみに私は西園寺勝君と戸浪克典君がお気に入りです。(笑))
主軸となるストーリーのほとんどは裁判部に持ち込まれる事件から展開されていくため、裁判を通してその全容が明らかになるのを楽しむこともできます。
なのでミステリー好きにとっても興味深い物語であり、あちこちに散らばっている主人公たちの恋模様にも目が離せません。もちろんコミカルな部分はたいへんコミカルなため、笑える物語が読みたい人のニーズにもばっちりです。
つまり設定やキャラクターのみならず、ストーリーそのものもたいへん魅力的なお話がこの東雲高校裁判部シリーズなのです!
少なくとも、私などではこの作品の面白さをすべて伝えることは到底不可能でしょう。
それくらい奥深く楽しい作品なのです。
とりあえず、興味を持たれた方は一読されることをお勧めします。
私も、続きがたいへん楽しみです♪
掲載 /テキストサイト
「薫風」(くんぷう)
サイトマスター /志水ミコトさん
<サイトとお名前を変更なさいました。でも作品の面白さはこれまでどおりです。長編以外にも短編・読みきり・お題小説とボリューム満点のサイトです。>
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