「いったいそりゃいつの話だい」

 痩せて、顔色も悪い店主は、疲れに耐えかねたように傍らの椅子に腰を落とす。

「確かに昔は、お客さんが言うとおりの美しい都を誇る国だったよ。
だけどそれも、俺達が愚かだったせいで全部失ってしまった。百貫姫と一緒にな」


「なんだい、詳しく聞きたいってか? 仕方ねぇな。愉快な話って訳じゃないが、足りない飯の代わりに教えてやるよ。昔、この国には百貫姫と呼ばれるお姫様がいたのさ」


目方にして百貫、
ぶくぶくと肥え太ったみっともないお姫さま。

夢のように美しい都にある、
ピカピカに磨かれた城。

痩せて貧しい小国の王子さま。

それぞれを語る、とある大陸の三つのお伽噺。




< STORY >

  ある見栄っ張りな国の話    

  ある太ったお姫さまの話

  ある貧しい王子さまの話




 

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